21年3月、老舗オークションに出品されたある作品が大きな話題となりました。
落札価格は6900万ドル、日本円で約75億円。
アメリカのアーティストBeepleが10年以上かけて描いた5000枚のスケッチをコラージュした作品です。
壁に掛けて鑑賞するような「形のあるもの」ではなく、画像ファイル「データ」です。
「デジタルアート」の市場が拡大するカギとして注目されているのが、新たな認証技術「NFT」です。
いったいどんな技術なのか?
赤ちゃんの泣き声と、その音の振動で絵の具が跳びはねる様子をハイスピードカメラで撮影した、約30秒のビデオアート「音のいけばな」。
21年3月、海外のオークションサイトで約50万円の値が付きました。
制作したのは京都大学特定教授で芸術家の方です。
40年ほど前から最新のテクノロジーを駆使した作品に取り組んできたデジタルアートの第一人者です。
実は作品をオークションにかけたのは今回が初めてでした。
デジタルアートはまったく同じものが簡単にコピーできるため、
一点物の絵画のように、値段をつけて販売することが困難だったのです。
「“デジタルアート”って言ってしまうと安くなってしまう、価値が劣る、コピーがすぐできてしまう。
というのが一般的な認識なんですよね。
作品そのものをデータで売るという選択肢を捨てていたところもあります。
ちなみにこれまで作品を販売する際には、コピーしにくくするため専用のプログラマーを雇い、
USBでデータをやりとりするなどしていたそうです。
デジタルアートを変える新技術「NFT」とは?
「NFT」=Non-fungible Token(非代替性トークン)という新たな認証技術です。
NFTは、作家が自身の作品に付ける「証明書」のようなものです。
暗号資産に使われる技術を応用したもので、作品データそのもののコピーを防ぐことはできませんが、NFTはコピーされません。
そのため、特定の作品だけをオリジナルとして販売することができるようになりました。
NFTの登場で、実物の絵画や彫刻と同じようにデジタルアートの価値が認められる時代がくるのではないでしょうか?
作家が自由にイラスト販売を NFTが可能にする新サービス
NFTの登場によって、作家が自由に作品を販売する場が広がっています。
都内にあるベンチャー企業は、NFTをつけたイラストを作家が直接売り出せるサービスを始めました。


転売されても作家に還元される NFTの新たな仕組み
NFTが作り手にもたらすメリットはもうひとつあります。
作品が「転売」されたときの仕組みです。
これまでアートの世界では、作品を一度10万円で売ったとして、その後にいくら高値で転売されても作家に一切還元されないという課題がありました。
しかし、NFTでは取引の履歴がすべて記録されるため、作品が転売されるたびに一定の割合を作家側に還元することが可能です。
デジタルアートにとどまらない!広がる用途 注意点は?
NFTを使った事業をめぐっては、現時点でLINEやメルカリなどのIT企業も参入。
デジタルアートだけでなく、購入者限定で聴くことができる楽曲の売買などにも使われていて、市場が急拡大しています。
さらに、活用事例はデジタル分野に留まりません。
実物の絵画の額縁の裏などにNFTを埋め込んだ専用のタグを貼り付けることで、
偽造が出来ない鑑定書として使われるケースも増えています。
偽物をなくすことが急務となっている既存のアート市場を救う新たなインフラとして期待されていて、
作品の価値に影響する売買や展示、修復などの履歴も記録することが可能です。
ただ、注意点もあります。
海外では作家になりすまして勝手にNFTをつけた作品を販売したケースが報告されています。
また現在のデジタルアート市場では投機を目的とした売買も多く、
適切な値付けかどうかを見極める必要もあるとのこと。


コメント